走馬燈鉄道 おぼろげな記憶が、視界を流れる景色とともに鮮明になっていく。 覚えていたつもりの記憶も、実は曖昧で、本当の過去はもっと繊細さを帯びていることに気づかされる。 「走馬燈鉄道にご乗車いただきまして、誠にありがとうございます。…Read More » Posted on 2015年4月11日 by admin Categories: 妄想するショートショート
未来からの営業マン 「それで、家族として唯一つながりのあった孫娘まで、老婆と暮らす家から出て行かなきゃならなくなっちゃったんだ」 「老婆は、ひとりきりになったってこと?」 「そう」 「それは悲劇だな……」 「ところが、ある日、孤独に暮らす老…Read More » Posted on 2015年3月29日2015年3月30日 by admin Categories: 妄想するショートショート
科学では解明できない病 微かに空気を振るわせ、荒れ果てた大地の上に、小型の宇宙船らしき物体は着陸した。 「これが人類を滅亡させた地球大戦争の直後の姿か……」 「思った以上に悲惨な状態だな……」 宇宙船らしき物体の中から、二つの生命体が地上に舞い…Read More » Posted on 2014年12月31日 by admin Categories: 妄想するショートショート
伝統ある競技 チャンスは今日しかない。 滑らせるように歩を進める。音をたてないために。腰を屈めて歩く。窓の外から見られないように。 見つかったらもう、ここでは生きていけない。 僕たちは閉鎖されたコミュニティの中で生きている。いつでも他…Read More » Posted on 2014年11月9日2014年11月10日 by admin Categories: 妄想するショートショート
私の好きなもの 「また潰れちゃったんだよねぇ……。信じられる?」 オフィス街の一角。閑静な佇まいのイタリアンレストランでランチを食べた後、テーブルに置かれたコーヒーを挟んで、同僚の美香に打ち明ける。 「また?」 「まただよ。お気に入りの…Read More » Posted on 2014年11月2日 by admin Categories: 妄想するショートショート
放課後のリコーダー 窓の外から姿を見られないように、僕は腰を深く落とし、清美ちゃんの席を目指した。 あった!このバッグの中だ。 ファッション誌の付録として入手することができる人気のブランドのロゴがプリントされたバッグ。この中に、清美ちゃんは…Read More » Posted on 2014年10月25日 by admin Categories: 妄想するショートショート
書き換えられた未来 「この部屋の中に踏み入ることは、オススメしません」 扉の前には、ひとりの女性。細身のスーツを着こなしたその女性は、俺にそう助言した。 「ようやくここまで辿り着いたんだ。宝を目の前にして、手ぶらで帰るわけにはいかないだろ……Read More » Posted on 2014年10月18日 by admin Categories: 妄想するショートショート
無残な盗聴器 コンセントカバーの中。こんなところに仕掛けられているなんて思わないだろう。盗聴器。これで、池村早苗の日常を盗聴できる。 俺は侵入の痕跡を慎重に消し去り、彼女の部屋を後にした。 ドアが閉まる音が聴こえてきた。 高性能な盗聴…Read More » Posted on 2014年10月11日 by admin Categories: 妄想するショートショート
たぐり寄せる運命 早く先回りしないと、あの子が例の場所を通過してしまう。早くしないと、私の名声が失われてしまう……。 「なんか今日、妙な占い師から、超不吉なこと言われたんだよねぇ……」 会社帰り。同僚のアイコに打ち明けた。 「不吉なことっ…Read More » Posted on 2014年10月5日 by admin Categories: 妄想するショートショート
理想の共存世界 その見慣れない生物は、長く厳粛な廊下を歩き、突き当たりの荘重な扉の中へと入った。 「これからは、あなたがた人間を、支配させていただきたい」 国家の元首は、その生物と対峙しながら、足の震えを抑えるのに必死だった。 「あ、あ…Read More » Posted on 2014年9月27日 by admin Categories: 妄想するショートショート