下着泥棒 スマートフォンを片手に、写真共有アプリを眺める。そっかぁ。可奈子って海外旅行中なんだ。超美味しそうなイタリアン。歴史的な建物。現地の爽やかな男たちと肩を組む可奈子のピースサインを眺めながら、チャイティーのカップを口に運ぶ…Read More » Posted on 2020年3月12日2020年3月12日 by admin Categories: 妄想するショートショート
悪いのは私? 彼はガレージの砂利の上で土下座し、泣き叫んだ。小石が突き刺さる膝頭には、痛みも走っているだろう。それでも彼は気にせず叫んだ。 「美桜! 捨てないで! 俺と別れないで! お願いです、お願いです、お願いです!」 職場の先輩か…Read More » Posted on 2020年3月1日2020年3月1日 by admin Categories: 妄想するショートショート
邪魔 気づけば走り出していた。ありったけの負の感情に引っ張られるように。邪魔な通行人をはねのけ凄む。ショーウィンドウに映る私は、まるでバケモノのよう。血走った目は凝固し、今にも破裂してしまいそうだ。手に握られたナイフは私の狂気…Read More » Posted on 2020年2月16日2020年2月16日 by admin Categories: 妄想するショートショート
墓駅 「あっ」 田崎の乗車する急行列車が通過するM駅のホーム。今朝も虚ろな表情で電車を待つあの女性。流れる景色の中に一瞬だけ現れるその姿は、田崎の印象に強く刷り込まれていた。 地方の営業所に異動になった田崎は、都会の通勤ラッシ…Read More » Posted on 2020年2月9日2020年2月9日 by admin Categories: 妄想するショートショート
ある日、突然シロに 目が覚めたら、シロになっていた。 飼い主の美里は俺の頭を撫でながら、「じゃあ、行ってくるねッ!」と言い残し、マンションの部屋を後にした。って、何で俺がシロに!? なぜこうなってしまったのか。理由はわからないが、姿見に映っ…Read More » Posted on 2020年1月26日2020年1月26日 by admin Categories: 妄想するショートショート
終わらない絞殺 それは、あっけなく終わった。俺に罪はない。気持ちがヨソに向いている俺に気づかず、つきまとい続けた玲奈のせいだ。自業自得ってやつ。俺は悪くない。目玉をひん剥いたその顔は、何かに怯える老婆のように見えた。 クリスマスにプレゼ…Read More » Posted on 2020年1月12日2020年1月12日 by admin Categories: 妄想するショートショート
ヘヴンズ・リグレット 「早く行けって言ってるだろ。たったの一時間だけだからな」 アズミは僕の尻を平手打ちした。勢いに押され、思わずよろめく。 「でも──」 「でもじゃないだろ。言い残した言葉があるんだろ? ちゃんと伝えてきなよ!」 「わかった…Read More » Posted on 2020年1月5日2020年1月5日 by admin Categories: 妄想するショートショート
囚われの美女 僕の手に、そっと先生の手が添えられた。絵筆を持つ僕の手は微かに震え、それを包むように制する先生の優しさを感じる。ゴクリと唾を飲み込み、緊張を抑える。徐々に大きく弾む感情。汗ばんだ手。心の乱れが絵に影響しないよう、慎重に空…Read More » Posted on 2019年12月15日2019年12月15日 by admin Categories: 妄想するショートショート
深夜バイト 「日当5万円!?」 「そうなんだよ。しかも、勤務時間はたったの30分くらいなんだよねぇ」 自慢気に語る友人の田中。どうやら先月から高給がもらえる深夜バイトを始めたらしい。噂を聞きつけた俺は田中を呼び出し、根掘り葉掘り聞き…Read More » Posted on 2019年12月15日2019年12月15日 by admin Categories: 妄想するショートショート
放課後グラフィティ 美咲と伊織は放課後、窓側の席に腰掛け、グラウンドの活気を眺める。部活中の生徒たちが発する熱のこもった声は、校舎の4階まで響いてくる。秋の終わりと冬の訪れを同時に感じさせる風が、二人の髪を優しく揺らした。 「もうすぐ卒業っ…Read More » Posted on 2019年11月24日2019年11月24日 by admin Categories: 妄想するショートショート