彼は真面目に格闘技を学び続けた。 いつか身に降りかかる危険に備え。 ある、深夜残業からの帰り道。 背後から迫る男が彼の肩を掴んだ。 「金出せや！」 ついに時は来た。 そして、彼は大声で叫んだ。 「護身術だな。教科書を出す…Read More »

職場から近くていい物件があれば。 男は希望を伝えた。 でしたら、火星はどうでしょう？ 不動産屋が書類を差し出す。 火星は厳しいっすねぇ。人が多いっすもん。 では、冥王星は？ 職場から遠いっすけど、見てみたいっすね。 では…Read More »

「アンタ、またワケのわからない男とLINEしてるでしょ！」 ワタシのスマホを片手に母が激昂する。 子供の安全のためにと言いながら、定期的にスマホをチェックする母。 でも、ワタシは知っている。 ワケのわからない男と一線を超…Read More »

俺は常に一匹狼。 誰とも群れないし、どこにも混ざらない。 革命思考を持つ俺がどこかに混ざってしまうと、そこに存在する常識、平穏、ルール、すべてぶち壊してしまうからだ。 君たちを巻き込みたくないし傷つけないために、一匹狼。…Read More »

「この時間帯って、どのチャンネルも無名タレントの散歩番組ばっかりなんだよなぁ」 男が愚痴る。 女がリモコンを手にチャンネルをザッピングする。 「ねぇ、河原でキャッチボールしてる番組あるよ！　このタレント見たことあるし！」…Read More »

「なるほど。ラブレターを書くのに字が汚いとマズい。それで書を始められたのですね」 はい。お恥ずかしい話ですが。 「書道家になられた今、既にラブレターはお渡しに？」 いえ。 書道家はこめかみを掻いた。 今の時代、デジタルの…Read More »

御社の企業理念に惹かれて応募しました。 「企業理念？　どう惹かれたの？」 わかんないっす。 「ウチの業種、知ってる？」 知らないっす。 「政府の要人の命を狙う仕事だよ。それを知った上でここに来たの？」 知らないっす。 「…Read More »

「金は用意した。今日こそ人質と交換だ」 正義のヒーローがにじり寄る。 「ダメだ。先に金を渡してもらおう」 悪党がそれを拒む。 「いや、人質の解放が先だ」 「いや、金だ」 「人質だ！」 難航する交渉。 時間だけが過ぎて行く…Read More »

「火を放っちまおうぜ！」 「ダメです。そんなことをしてはなりません」 「黙れ！　口出しするな！」 制止する天使をよそに、悪魔は火を放った。 あたり一面が火の海と化す。 タカシは眠気を追い払い、再びペンを動かした。 「いい…Read More »

「私の趣味は読書ですってどう言えばいいのでしょう？」 ある英会話教室。 生徒から質問が飛ぶ。 「あれ？」 呟きながら右手に持った機械を小突く先生。 「今日はツールの調子が悪いようだから、授業は中止とします」 英語が喋れな…Read More »