入院中の妻より先に旅立つことに。 もう見舞いにも行けない。 そうだ。 メールを予約投稿しよう。 僕のメッセージが未来まで妻に届くよう。 彼の妻の臨終が迫る。 ずっと気づいていた。 それが予約メールだと。 夫の優しさに溢れ…Read More »

深夜業務を終えた男は、ひとり峠の道に車を走らせた。 徹夜続きの毎日。疲れ目で視界が霞む。 ふとバックミラーに目をやると、車体の上にしがみつく若い女の姿が映っていた。 興奮して語る男の話に耳を傾けていた彼の友人は涼しい表情…Read More »

目の前に男が現れた。 俺は20年後の未来から来たお前自身だ！ 急な展開に腰を抜かす。 背後から別の男が顔を出す。 俺は13年後のお前だ！ 俺は９年後！ 最終的に20人もの自分が立ち並んだ。 昨夜、バーで知り合った女とは付…Read More »

男は女を人質に雑居ビルの一室に立てこもった。 女を羽交い締めにする男。 男の要求は現金、高級外車、高級ブランド品など多数。 多くの警官がビルを取り囲んだ。 ピストルを握り窓の外を威嚇する男。 男の腰にピストルを突きつけ男…Read More »

ある地下の一室。 そこは男の書斎。 男は誰もが知るベストセラー作家だ。 筆を進めるのはいつも朝方。 皆が起床する時間になると、男のペットが書斎にやってくる。 男はペットに近づくと、口にしたものを吐き出させる。 男のペット…Read More »

桃太郎はきびだんごを手の平に乗せた。 足元に犬がすり寄ってきた。 木からは猿がすり寄ってきた。 キジもすり寄ってきた。 さらに数十匹の犬が。 木からは次々と猿が。 空からはおびただしい数のキジが。 無数の犬、猿、キジが桃…Read More »

営業マンの島田は、得意先の男と共に会議室に入ると室内の電気を消した。 ガラス張りの会議室の外には、社員たちが一同に集まる。 「さて、今回の商談についてですが──」 会議室から島田の落ち着いた声が漏れる。 部長の吉川は言っ…Read More »

二人の少年が、出会い頭に民家の角で立ち止まる。 「見つかった？」 「全然、見つかんない」 「あいつの家も隅々まで探したけど見つからなかったよ」 「もしかして、海外だったりして」 「あいつにそんな度胸あるかよ！」 少年たち…Read More »

風が吹く高台。 男が女に告白するシーンの撮影。 「中断お願いします！」 申し出たのはスタイリスト。 完璧な美を追求するスタイリストは、俳優の髪の乱れが気になった。 風が吹き、髪が乱れ、中断を繰り返す。 痺れを切らした監督…Read More »

男はそっと体重計に足を乗せた。 デジタル目盛りはゼロを示したまま動かない。 「ダイエット成功、おめでとうございます！」 男が申し込んだのは、身体と魂を分離する究極のダイエット法。 魂だけになれば体重はゼロだ。 隣でトレー…Read More »