長老が青年の肩を叩いた。 悪魔に生贄を差し出すのが、この村のしきたり。 「もう、村には帰って来られないのでしょうか」 青年は涙した。 「残念だが、いまだかつて戻った者は一人もいない」 青年は悪魔に連れられ城へ。 大勢の美…Read More »

聖なる太陽光を浴びれば、毒霧の間に足を踏み入れても死なずに済むんだ。 冒険を共にする戦士たちを、勇者が奮い立たせた。 聖なる光を体中に浴びる一行。 いざ、毒霧の間へ！ 紫の煙が立ち込める空間を抜け、勇者は振り向いた。 美…Read More »

棺から這い出た老体は、あくびを一発。 死後の世界。それは歩んできた道を遡ること。 死から生へ。 大病を患っていた男は、完治に努め健康体に。 連れ添った妻とも離婚し、会社も退職。 学びの全てを忘却し、学友とも離別。 歩行器…Read More »

母の回復を祈り幼子が千羽鶴を折る。 「おばあちゃん、あと１羽で終わりだよ」 祖母はコソッと１羽だけ抜き取った。 「できた！」 「ほんとかい？もう１度数えてごらん？」 「あれ？１羽足りない」 「その１羽はきっとマコちゃんの…Read More »

涼しげに小川が流れ、杉の巨木が茂る。 立入禁止の札の向こう。 背丈が縮む鳥居があると噂になった。 年々その背丈が縮んでいることで、祟りだと騒がれた。 その町の長は常にクレバーな男。 皆が霊媒師を呼べと叫ぶなか、冷静に命じ…Read More »

指定されたカフェで彼氏を待つ女。 急に店内の音楽が激しくなった。 ウエイターが踊りだす。 隣の客も立ち上がる。 気づけば全ての客が踊っている。 フラッシュモブ。 踊りながらカフェに姿を見せた彼氏。 すると、女も立ち上がり…Read More »

これですね？ 作業着の男はシュレッダーを指差し、主婦は頷く。 シートを床に敷くと、男はシュレッダーの中身をぶちまけた。 細切れの紙を次から次へとつなぎ合わせていく。 ジクソーパズルのように。 作業完了です。 男は１枚の写…Read More »

既にウイルスが全身に蔓延している。 救うことはできるだろうか？ 諦めるな！ 全力を尽くそう！ ──やはりダメだったか。 仕方がない。未知のウイルスだった。 クソッ！ 一同は額の汗を拭いながら俯いた。 申し訳ありません。 …Read More »

食の評論家として名高い男がイベントに招待された。 世界一のシェフが作った料理と一般の主婦が作った料理。 言い当てられるのか？ Ａの料理を口に運ぶ。 次はＢの料理。 「Ｂが断然うまい」 司会者が叫ぶ。 「残念！」 会場はど…Read More »

過去って振り返れば、何だって思い出になるよな。 男はひとり呟いた。 事業に失敗したことも。 妻と子どもに逃げられたことも。 遠い目で男は語る。 人を殺しちまった過去も、な。 通りすがりの中年が男に声をかける。 「殺された…Read More »