「霊界警察が俺に何の用だ？」 「アンタに逮捕状が出てる」 「バカな！　俺は地縛霊だぞ」 警察は手錠を構える。 「女に捨てられて自殺したんだぞ。ここに居座る理由がある！」 男は声を荒げて主張する。 「法律も変わるんでねぇ」…Read More »

少年は退屈な授業に嫌気がさし、いつも居眠り。 スナック菓子を買い占める夢にご満悦。 まどろみを射抜くように教師の鋭い声が飛ぶ。 「はっ！」 目を覚まし見回すと、そこには見知らぬクラスメイトたち。 まだ夢の中か？ 頬をつね…Read More »

亡き人の脳の記憶を映像化し、プレゼントするサービスです。 葬儀屋は婦人にメディアを手渡した。 皆さんもご覧になられたの？ はい。編集の際に。 婦人は自宅に戻ると映像を再生した。 女と戯れる夫の視点。 怒り狂った婦人が現れ…Read More »

幼い頃、母に絵本を読んでもらって眠るのが大好きだった。 末期の病気を患ってから２年も生きた母。 医師からの電話が母の危篤を告げる。 男は病室のベットの脇で、あの絵本を読んだ。 最後のページをめくる。 そこには母の手で書か…Read More »

俺はあの日、親分に銃口を向けた。 親分はニヤリと笑い俺と肩を組んだ。 あれから８年。 俺は組織のトップに。 そして親分の寿命が迫る。 病床の親分が俺に語りかけた。 「お前の勇気には脱帽だ。玩具のピストルで勝負をかけるなん…Read More »

僕、見えるんだ。 彼女は不安そうに僕を見つめる。 君の周りにも何人かいるよ。 霊が？ そう。 順に指で指す。 小太りで中年の男と痩せた男。あとは、老婆だね。 もうひとりいない？ 彼女は言った。 僕は首を振る。 目の前の女…Read More »

選ばれし勇者の最終面接。 ひとりの青年が勝ち残った。 老師は言った。 勇者として大切な素養はひとつしかない。 青年は頷く。 何があっても嘘をつかない誠実さじゃ。 唾を飲む青年。 では問うぞ。 老師は腕を大きく広げた。 何…Read More »

男は世を憎み、孤独を求めて透明人間の薬を飲んだ。 誰にも見られず、誰にも知られず生きた。 そして今、寿命が尽きようとしている。 ひとりの博士が男の部屋を訪れた。 「あの薬には何の効果もないんだよ」 「でも、誰も僕のことを…Read More »

そこは月明かりすら差さない山奥の荒れ地。 男が一心不乱に穴を掘る。 その姿はまるで何かに取り憑かれたよう。 穴が深くなり、もはや男の姿は地上からは見えない。 男が手を止め呟いた。 「あれ？　死体はどこだ？」 穴に隠すべき…Read More »

あのロケットに乗って飛び出そうか。 いや、あれはそれほど遠くまで行けやしない。 じゃあこの次か？ ああ。次のやつは今までのとは違う。 昆虫たちはロケットにしがみついた。 ロケットはどこまでも飛ぶ。 会場に響く歓声。 先端…Read More »