買い物の支払いは全て顔認証で自動化。 会議は脳内スキャンで自動化。 面接はＡＩ対応で合否が自動化。 何もかもが瞬時に済む、便利な時代になった。 ところがだ。 僕は彼女の肩にそっと手を置き、頬に唇を近づけた。 「ダメ！　ま…Read More »

そこは京楽のない最果ての村。 少年は悪戯で地図に目印を落書きした。 数年が経ち、村では幻の宝と噂された。 成長した青年は心を痛めた。 自分が捏造した嘘。 村人たちは宝を探し続けた。 何年も何年も。 村人たちは知っていた。…Read More »

「富士山！」 女優のＭが答えた。 「正解！」 Ｍの耳にはワイヤレスイヤホン。 遠隔でクイズの正解が伝えられる不正行為。 そして最終問題が読み上げられる。 イヤホンの電波状況が悪く、途切れる音声。 「聞こえないよ」 『どう…Read More »

太郎君は好奇心旺盛。 テレビの中には小さな人間がたくさん入っている。 そう信じていました。 ある日、彼は工具でテレビを解体。 すると中から小さな人間が大量に現れ、一目散に逃げて行きました。 気になりテレビの中に入っていく…Read More »

「この辺でＨ食品のカレーパンを見かけなかった？」 その日は突如訪れた。 張り込みが続く毎日。 いつものように後輩刑事にカレーパンを買いに走らせる。 俺のお気に入り。 ところがどうだ。 「販売中止になったそうです！」 意気…Read More »

私の歌声で大丈夫だろうか。 緊張でじっとりと手が汗ばむ。 音程は外さないだろうか。 声が裏返りはしないだろうか。 この日のために練習を重ねてきた。 自信を持つんだ。 女は自分に言い聞かせる。 「よし！」 意を決して女は歌…Read More »

突如として核戦争は起こった。 安全と謳われた地下シェルター。 人々は安心した。 「お伝えしなければならないことが──」 政府の発表にシェルター内は固唾を飲んだ。 「核戦争後の気候大変動で、数十年は地上に出られません……」…Read More »

家に帰ると妻の姿がなかった。 妻が使っていたものも全て消えていた。 寂しさに気づいてやれなかった俺が悪い。 一人で座るには広すぎるソファ。 ぼんやり宙を見つめる。 用意周到な性格の俺。 実はまだ結婚もしていない。 それな…Read More »

「やばい、間に合わない！」 焦った男が車に飛び乗る。 前向き駐車した車。 慌てた男はブレーキとアクセルを踏み間違えた。 うなるエンジン。 車止めを乗り越える前輪。 ガラスを突き破りコンビニに突っ込んだ。 店長らしき男が車…Read More »

世界一美味しい物が食べたい。 女王が民に命じると、宮廷料理が拵えられた。 美しい宝石を望めばその手に。 全て意のまま。 ある日、女王は命じた。 「私を殺しなさい」 だが、それを実行する者はいない。 完璧な統治。 女王は気…Read More »