予想もしないところで炎があがった。 火の燃える勢いは凄まじく、あちこちに燃え移った。 悲鳴をあげる者。 怒鳴り散らす者。 野次馬もたくさん集まり、騒ぎ立てた。 もはやどこが出火元かすらわからない。 消防隊員が到着する。 …Read More »

「今の恋人と絶対に別れちゃダメ！」 突如姿を現した女が叫ぶ。 「私は未来のあなた。未来から忠告に来たの」 「そんなわけない──」 美咲は首を横に振った。 女は目を丸くする。 「未来の私がこんなに太ってるはずがない！」 聞…Read More »

晩年を迎えた男が、２月の木々をスケッチする。 こうして過ごす時間が好きだった。 長年連れ添った妻は入院中。 男の元に病院から連絡が入る。 男は思いついたようにキャンバスを春色に染めた。 それを手に病院へ。 「ほら、綺麗だ…Read More »

超高層ビルの最上階。 窓の外、空を見上げる。 男は成功を収めた。 ここまで上り詰めたか──と、自分を誇らしく思った。 空には鳥が飛んでいる。 鳥は超高層ビルの上を優雅に飛ぶ。 急な便意。 糞をした。 見下ろしてみると、糞…Read More »

こんな生活から抜け出したい。 そう願う男の元に怪しげなセールスマン。 男にタイムマシーンを売りつけた。 男は現在を変えるために過去へ。 しかし、何度過去を変えてみても現在は変わらぬまま。 男は怒鳴りつけた。 セールスマン…Read More »

「いつでもニコニコと笑っている。そんな顔にしてください」 暗い性格だと周りから避けられた苦い過去。 男は整形を決意した。 全ての施術が終わり鏡を見る。 確かに笑っている。 でも──。 笑ってはいるが、ブサイクだ。 後悔。…Read More »

大量のミサイルが夜空を舞った。 隣国の人々はそれを美しがり、花火大会と呼び喜んだ。 方々から喝采が起こる。 この事態を危惧した大統領がいた。 彼は地球を滅ぼす決意をした。 禁断のボタンを押す。 巨大な核が放たれ、地球は燃…Read More »

道のりは想像以上に険しかった。 何度も諦めそうになった。 母のため父のため、自分のために。 俺は生きねば。 すぐそこに光が見えている。 あと少しだ。 そして俺はやりきった。 煌々とした光を浴びる。 あまりの喜びに、俺は泣…Read More »

伝説の作家が惜しまれながらこの世を去った。 執筆したショートショートの作品数は世界一。 見事、ギネス記録に。 そして今、ギネス記録を更新中。 作品数をどんどんと伸ばしている。 「実に便利な世の中になった」 作家は得意げに…Read More »

渡り鳥の群れは食料を求め、快適な環境を求め、繁殖のために群れで移動する。 そっちには俺たちの求める世界はないぜ。 群れのうちの一羽が言った。 誰も耳をかさず、一心不乱に前へ前へ。 やがてその一羽は群れを外れた。 バカな奴…Read More »