３人の少年たちは、ふざけながら下校していた。 向こうにクラスメイトの姿が。 「おい！　お前ってほんと影が薄いよなぁ！」 少年たちは叫びながら彼に駆け寄った。 よく見ると、彼の足元に伸びる影が異常に薄かった。 彼はニヤリと…Read More »

霞む視界の中。目の前には川が流れている。 よく見ると川の向こうに、死んだ父、母、じいちゃん、ばあちゃんの姿。 こっちにおいでと、笑顔で手招く。 俺は家族が嫌いだった。 だから若くして家を出た。 あっちには行きたくない。 …Read More »

「ただいま！」 悪びれもせず男は陽気に叫んだ。 「お前サン、また帰ってきたのか？」 「俺がいない間、寂しかったろ？」 「何言ってるんだ、新人の相手で大忙しだぞ」 昔を懐かしみながら男は深呼吸する。 「ここの空気が大好きな…Read More »

「原因不明の体調不良が続いてまして……」 男は霊能力者のもとを訪れた。 頭痛。 目眩。 幻覚。 幻聴。 あらゆる症状に男は悩んでいた。 「他にもある変わった現象が──」 「どういった現象でしょう？」 「エレベーターに乗る…Read More »

その棋士は、タイトルの連続獲得記録を伸ばし続ける。 周囲から天才と称され、すっかり有頂天になった。 ある夜、背後からコツコツと音がした。 コツコツというその音は、日に日に迫ってくる。 やがてその音はすぐそばまでやってきて…Read More »

「女優とかミュージシャンに会ってみたいなぁ」 男は呟く。 友人は得意げに言った。 「いい方法を知ってるよ」 「どうせ出待ちとか握手会とかだろ？　そういうのじゃなくってさぁ」 「違うね。なんだったら家にも入れるよ」 男は鼻…Read More »

一時停戦の指示を受け、兵士は銃を置いた。 目の前には敵国の兵士の姿。 お互いに歩み寄る。 「頭を撃ち抜いてやろうと思ってたのに」 「それはこっちのセリフだ」 手を差し出し、握手を交わす。 「開戦の日を楽しみにしてるよ」 …Read More »

女は目を覚ました。 「ここはどこ?!」 男は不敵に笑う。 「やっと二人きりになれたね」 バーで飲んでいると、資産家を名乗る男が隣に座った。 その後、急激な眠気に襲われた。 「帰らせてよ！」 「それは無理だよ」と男は言う。…Read More »

「私、長風呂なんだよねぇ」 「お風呂、好きなんだね」 「ちがうの」 「どういうこと？」 「お風呂の時って、考え事しやすいじゃない？」 「うん」 「夢中で考え事してると、身体洗ったっけ？　髪の毛洗ったっけ？　って忘れちゃう…Read More »

生きる希望を失った男のもとに死神が現れた。 「一発逆転したいかい？」 死神はニヤリと笑う。 「俺の言う馬に、有り金を全部賭けてみな」 男は死神を信用することにした。 「ただし、小銭だけは残しておけ」 男は目を丸くする。 …Read More »