近頃じゃ、お墓参りする人も少なくなった。 今じゃこうして墓に眠る本人が、墓を掃除する始末。 「おや、田中さんもですかい？」 「誰も参りに来んからなぁ」 「時代の流れですねぇ。ほんと、寂しいもんです」 「休憩して一杯やりま…Read More »

「この中に、お医者さまはいませんか？」 ＣＡの女は乗客に向かって叫んだ。 緊急事態の中、ひとりのスマートな男性が手をあげた。 「医者ですが、急病人はどちらに？」 女はモジモジして答える。 「急病人はいません」 「どういう…Read More »

川上から桃が流れ着き、おばあさんが家に持ち帰りました。 桃を割ってみると、元気な子供が現れました。 子供はすくすく育ち大きくなりましたが、家でゴロゴロしてばかり。 大きくなった子供を養いながら、しまいには、おじいさんが鬼…Read More »

そこは占いの館。 占い師の男が客の女の手を取り、手相をチェックしようとした。 「ちょっと！　何触ってるの？　セクハラで訴えますよ！」 女は大声で叫んだ。 男は慌てて手を引っ込める。 困り果てた男は別の提案をした。 「では…Read More »

「悪い子はいねぇかぁ？」 鬼の面を身につけた男たちが民家に入って行った。 すぐに民間を後にした鬼たちは、「悪い子はいねぇかぁ？」と、次の民家へ。 またしてもすぐに飛び出し、次の民家へ。 この村は高齢化が進み、既に子供がい…Read More »

町の人たちは衛生面に気を配るようになった。 手洗いうがいはもちろんのこと、除菌スプレーも常備。 マスクも身につけ、常に清潔さを保つよう心がけた。 町から消えてしまったのは、「ハ～ヒフ～ヘホ～！」の声。 どうやら除菌されて…Read More »

怪獣が突如として現れ、街を破壊しはじめた。 市民は空を眺めながら、ヒーローの到着を待ちわびた。 「お前なんて、ヒーローがやっつけちゃうよ！」 子どもたちも期待に胸を膨らませる。 「残念ながら、ヒーローは来ないぞ！」 怪獣…Read More »

坊っちゃんはママにせがんだ。 「たくさん飼いたいの！」 昆虫専門店の店先で泣き叫ぶ。 「大きなケージは買えないのよ」 「それでもいいのっ！」 自宅に帰り、満足そうな坊っちゃん。 小さなケージいっぱいのコオロギを眺める。 …Read More »

「ここの店にしよう」 男は入店をクリックした。 オンラインでホステスとつながれる時代。 １対１の甘い時間を、男は存分に楽しんだ。 「お会計はクレジットカードから引き落としねッ」 そう言い残し、ホステスは画面から消えた。 …Read More »

石鹸を泡立てて、手のひらを入念にこする。 手の甲も伸ばすようにこする。 指先やツメの間も入念にこすらなきゃ。 指の間や手首ももちろんだ。 親指と手の平のねじり洗いも忘れずに。 男はキレイになった手を隅々まで眺めた。 「よ…Read More »