「死者と対話できる装置を発明した」 老博士から発表があった。 「幽霊じゃあるまいし」 人々はそれを疑った。 何でも科学で解明できる時代。 そんな超常現象が起こりうるはずがない。 「発明が本当なら証明してもらおう」 装置か…Read More »

人間は不死の能力を手に入れた。 同時に、病を患うこともなくなった。 最先端技術のおかげで、自然災害も防げるように。 もちろん、交通事故なんて起きるわけがない。 「おいおい、こうも進化されちゃ困るんだよ」 「いっそ、失恋に…Read More »

「噛み砕いて話してやってるんだからさぁ」 「はい」 「飲み込めた？」 「はぁ……」 「まだ奥歯に物が挟まった感じ？」 「い、いえ……」 「全部吐き出しちゃいなよ。消化不良を起こすよ。ねぇ、聞いてる？」 一生懸命、説教して…Read More »

「ごちそうさま……」 子供が言葉を濁す。 「また残して。もったいないお化けに叱られるわよ！」 母親が怒鳴る。 と、その時だった。 食卓の脇から、見たこともない化け物が姿を現した。 「残さず食べようねぇ」 地を這うような声…Read More »

今日も不在通知を投函する。 また今日も不在通知。 今日はご主人が受け取りに出た。 以前なら、いつでも美しい奥さんが受け取りに出ていたのに―― 今日も不在通知。 奥さんはこの家を去った。 ――奥さんはどこへ？ 「仕事終わっ…Read More »

「タヌキが儲け話を持ちかけてきましてねぇ」 知人の大社長がおかしなことを言う。 「どっこい、有り金が全部、葉っぱになってしまい──」 「それは災難だ！」 「せっかくだから葉っぱに火をつけて、焼き芋を楽しみましたよ」 「な…Read More »

この薬を飲ませれば、泥酔させられる。 女のグラスに薬を混ぜる男。 数秒後、バーの椅子が倒れる音がした。 「大丈夫ですか？」 マスターが駆け寄り起こす。 男の体を。 意中の女を薬で酔わす緊張から―― 飲めない酒をあおり過ぎ…Read More »

重力を自由に操れるようになった人類。 ふわふわと浮かぶように移動もできるようになった。 スーツ姿の男が軽やかに移動する。 「はぁ……」ため息をつきながら。 発注ミスをしてしまい、得意先に謝罪に向かっている。 激怒される場…Read More »

心を読む魔力を持った悪魔に、地球は支配されていた。 しかし、そんな悪魔を倒した若者がいた。 彼が持っていたのは、完全に心を閉ざす能力。 心理戦の末、魔王を打ち負かした。 人々は彼を称賛。彼と喜びを分かち合いたがった。 が…Read More »

「主人がいきなり子供に戻ってしまったんです……」 悲痛な面持ちで博士に相談する女。 「何がきっかけで？」 「背中を掻いてました。手が届かずイライラと」 「で、届いたわけですな」 「はい」 「人間の背中にはリセットボタンが…Read More »