これですね？ 作業着の男はシュレッダーを指差し、主婦は頷く。 シートを床に敷くと、男はシュレッダーの中身をぶちまけた。 細切れの紙を次から次へとつなぎ合わせていく。 ジクソーパズルのように。 作業完了です。 男は１枚の写…Read More »

既にウイルスが全身に蔓延している。 救うことはできるだろうか？ 諦めるな！ 全力を尽くそう！ ──やはりダメだったか。 仕方がない。未知のウイルスだった。 クソッ！ 一同は額の汗を拭いながら俯いた。 申し訳ありません。 …Read More »

食の評論家として名高い男がイベントに招待された。 世界一のシェフが作った料理と一般の主婦が作った料理。 言い当てられるのか？ Ａの料理を口に運ぶ。 次はＢの料理。 「Ｂが断然うまい」 司会者が叫ぶ。 「残念！」 会場はど…Read More »

過去って振り返れば、何だって思い出になるよな。 男はひとり呟いた。 事業に失敗したことも。 妻と子どもに逃げられたことも。 遠い目で男は語る。 人を殺しちまった過去も、な。 通りすがりの中年が男に声をかける。 「殺された…Read More »

男は邸宅へ忍び込んだ。 目的は侵入窃盗。 予想に反し、玄関から男女の声が聞こえた。 慌てて屋根裏に逃げる。 男に衝撃が走った。 見知らぬ男性と妻の姿。 「あいつ、浮気してやがる……」 浮気相手は男の妻に言った。 「旦那さ…Read More »

酩酊のまま男はマンションに帰った。 早くから飲んだものだから、空はまだ明るい。 ドアを開け玄関に入る。 違和感。 間違えて隣の家に入ってしまった！ 室内を見渡すと、そこには妻の姿。 え!? 妻の隣には男の姿。 隣家の主人…Read More »

男は静かに葬儀場へと忍び込む。 「遅刻しちゃった」 男はペロリと舌を出した。 男の友人が弔事を読む。 「今、行くのは、さすがにマズいな……」 男は様子を伺う。 弔事を読み終えた友人が席へと戻った。 「よし！」 男は参列者…Read More »

男は全てに嫌気がさし、ある施設を訪れた。 すみません。転職したくて。 どういった職に？ 人間に疲れちゃったので、犬に転職できれば。 数日後、男は再び施設を訪れた。 飼い主から捨てられちゃいまして……。 男は犬に嫌気がさし…Read More »

商店街の片隅。 初老の女が、道行く人を占う。 ひとりの女が簡易椅子に腰掛けた。 辛い過去を過ごしてきたねぇ。 孤独だっただろ？ お母さんがどっか行っちまったんだね。 かわいそうに。 左肩にアザがあるかい？ 客が頷くと、占…Read More »

妄想とは時に滑稽だ。 被験者の男が密室に入る。 博士は男に告げた。 隣室には一糸まとわぬ美女がいる、と。 男は壁に耳を押し当てた。 隣室からはさまざまな物音が。 徐々に興奮しはじめる。 妄想が肥大化し欲情する。 地団駄を…Read More »