アタシ、泣いてる？ 失恋のせい？ 違う。 玉葱を切ってるからだ。 ん？ 玉葱なんか切ってない。 あっ。 ボーッとして指を切っちゃってる。 痛くて泣いてるんだ。 流れる血。 彼はもういない。 未来も視界も霞む。 失恋のせい…Read More »

この漫画好きなんだけど、新刊出るペース遅いよなぁ。 男はひとりごちた。 １年に１冊のペースだもんな。 口惜しげに表紙を眺める。 作者は60巻まで出すって意気込んでるけど。 まぁ、楽しみが長く続くから、いいか。 言いながら…Read More »

ある実験が地球規模で行われた。 人から人へと言葉を伝える伝言ゲーム。 最初の伝言が最後にはどう変化しているか。 最初の言葉は『私たちは憎しみ合っています』だ。 数年の時が経ち、伝言を受けた最後の被験者が答えた。 「私が聞…Read More »

「なぜ彼の死は、それほど発見が遅れたのだ？」 警部補は首を傾げる警部に成り行きを説明した。 「物音ひとつしなければ、両隣の住人も異変に気づいたでしょう。 ところが、被害者の部屋からは常に会話が聞こえていたそうです」 「会…Read More »

その葬儀は、見事なほど盛大に営まれた。 故人の名は〈六代目菊家秋団治〉。人間国宝に認定された偉大な落語家だ。 壇上には笑みをたたえる秋団治の巨大な遺影。そして故人が眠る棺。会場には８００人を超す参列者の姿があった。 秋団…Read More »

マンションの管理人は、防犯カメラに映る住人の美女を眺めた。 その美しさを堪能するため、最も高価なカメラを設置。 その映像に釘付けになるのが日課になった。 ある日の防犯カメラの映像。 美女の背後から忍び寄る管理人の姿。 そ…Read More »

幾多の冒険を経て、旅人はついに辿り着いた。 願いが叶う泉。 壮大な願いを抱え、ここまでやって来た。 湧き出る水を口に含み、願いを叫べば何でも叶うという伝説。 彼は深泉に近づき、透き通る水に手を浸そうとした。 その時。 コ…Read More »

近頃、事件の検挙率が著しく下がった。 アリバイというものがこの世から消失したからだ！ 声を荒げる警部。 部下たちは押し黙る。 ヤツがあんなものを発明するから……。 警部はため息をついた。 どこでも移動できる夢のドア。 犯…Read More »

ホラッ、食い物がぶら下がってるだろ？ パクッと喰らいつくんだよ。 チクッとするけど、体を捻って逃げる。 愉快なゲームだろ？ お前もやってみろよ。 勧められるまま彼は前進した。 食い物に喰らいつく。 イテッ！ その瞬間、体…Read More »

彼は不死の能力を手に入れた。 その数年後、核戦争が起こり人類は滅亡した。 残されたのは彼だけ。 彼は能力を恨み、自らを殺めようとした。 が、能力が邪魔して死ねない。 そんなある日。 向こうから一人の女性が歩いて来た。 「…Read More »