化ける――ある小説家の手記 もはや我慢の限界がきたのだろう。これまで編集者の言葉を拠り所とし、脇目も振らず一心不乱に作品を紡いできた。「いつか化ける、先生は必ずいつか大物に化けるから」と持て囃(はや)され、もう何十年が経つ?「俺の人生を返してくれ…Read More » Posted on 2023年11月12日 by admin Categories: 妄想するショートショート
ある月夜の惨劇 それは、朧気(おぼろげ)な光沢を纏(まと)った美しい月が煌(きら)めく、とある夜のことだった。女王は寝室の窓から月を見上げたかと思うと、狂的に声を張り上げ、執事を部屋に呼び出した。「この世で一番、美しいものは?」「もち…Read More » Posted on 2023年10月29日2023年10月29日 by admin Categories: 妄想するショートショート
悪魔を退治したあとに 今日で僕は転校する。せっかく住み慣れたこの町とも、もうお別れだ。ホームルームが終わり、クラスメイトに別れを告げる。いつもと変わらない放課後の校舎。下校で賑わう校庭を抜け、校門をくぐろうとしたとき、聞き慣れた声が僕を呼び…Read More » Posted on 2023年10月15日2023年10月15日 by admin Categories: 未分類
さぁ、次の季節は! 残りの荷物をバックパックに詰め込み、がらんとした部屋を眺める。たった数ヶ月とはいえ、どれもこれもが忘れがたい記憶。ここで過ごした日々に思いを巡らせ、感傷に浸る。「さて」 後ろ手に玄関ドアを閉めると、夏は、高くなりはじめ…Read More » Posted on 2023年9月24日2023年9月24日 by admin Categories: 妄想するショートショート
そうだ、ゲロバム行こう 「ゲロバム、知ってるだろ?」 友人の楠田がふいに尋ねてきた。「ゲロバム?」「えっ、お前、もしかして知らないの?!」 幼馴染の楠田はいつも男の一歩先を行く。学力にしても、スポーツにしても、恋愛もそうだった。仕事も出世も、何…Read More » Posted on 2023年9月10日2023年9月10日 by admin Categories: 妄想するショートショート
透明なビジネス それを見つけたのは、男がインターネットの闇サイトを巡っていたときだった。『透明になれる薬、今だけ限定販売!』 男の視線はキャッチコピーに吸い寄せられていった。もちろん、眉唾物の商品だということは理解している。ただ、男な…Read More » Posted on 2023年8月27日2023年8月27日 by admin Categories: 妄想するショートショート
運命の変え方 ここ数年、友人たちの結婚が相次いだ。もちろん、早くに結婚した友人たちは、既に子を持ち、ママとしての道を歩んでいる。もはや、「独身を謳歌してるのよねぇ」なんて悠長なこと、言っていられなくなった。ただ、闇雲に焦ってみても、…Read More » Posted on 2023年8月13日2023年8月13日 by admin Categories: 妄想するショートショート
死を選ぶことすら 「そういやお前、子供の頃の夢ってなんだったの?」「子供の頃の夢かぁ……学校の先生だね」 男は安居酒屋のカウンターで、旧友二人と肩を並べる。瓶ビールを注ぎ合い、アテをつまむ。店内には懐かしい曲が流れ、話題もそれにつられてい…Read More » Posted on 2023年7月30日2023年7月30日 by admin Categories: 妄想するショートショート
ある作家の代償 ある小説家の人生が一変したのは、あのペンを手にしてからだった。 小説のネタを探そうと、インターネット上をうろついていたとき、そのバナー広告が目に飛び込んできた。〈ペンが勝手に物語を紡ぎ出す。そんな魔法のペンで小説を書い…Read More » Posted on 2023年7月17日2023年7月17日 by admin Categories: 妄想するショートショート
雨担当の者ですが 「また依頼がきたよ」 手にしたデバイスが震え、画面にメッセージが表示された。「〈明日の遠足が面倒なので、雨にしてください〉だって」「かわいい願いじゃないか。幼い小学生だろ? それくらい気持ちよく叶えてやれよ」「まぁ、それ…Read More » Posted on 2023年6月25日2023年6月25日 by admin Categories: 妄想するショートショート