人々は溶け出した屋根の修繕に追われた。 「温暖化の影響か……」 何か代わりになる材料はないかと、知恵を出し合った。 「そうだ！　これで屋根を作ればいいんだ！」 袋から取り出したのはチップス。 早速施工に取り掛かる。 「チ…Read More »

月曜は服屋からのメールマガジン。 水曜はオンラインショップのメールマガジン。 金曜は登録した覚えのない飲食店からのメールマガジン。 「いちいち面倒臭いなぁ」 女はスマートフォンを操作しながら、ひとりごちた。 電気通信事業…Read More »

「子供ってどうやってできるか知ってるか？」 学校からの帰り道。少年は友人に尋ねた。 「コウノトリが運んでくるんだろ？」 「正解！　じゃあ――」少年はさらに続ける。 「フコウノトリって知ってるか？」 友人はキョトンとする。…Read More »

某有名美術館で盗難事件が発生。 犯人は最も価値のある絵画を盗んだ。 駆けつけた警官は逃げる犯人を追いかける。 屋上からヘリに飛び乗ろうとする犯人を、手にしたピストルで撃った。 轟音が鳴り響き、絵画が血のりで赤く染まる。 …Read More »

目が合った相手の命を奪う妖怪が現れ、村はパニックに。 神出鬼没の妖怪に、次々と殺されていく村人たち。 残ったのは少年と少女の二人だけ。 二人にはある特徴があった。 シャイで誰とも目を合わせられない。だから生き残れた。 そ…Read More »

信号が赤に変わる。 それを見るや、一気に目つきが変わり、突進しはじめた。 あまりの勢いに周囲は騒然とする。 通行人は命からがら身をかわした。 信号はことごとく赤が続く。 しかし、さらに興奮した様子で、暴走は止まらない。 …Read More »

人類の脳を活性化させるべく、物の名称を不規則に入れ替える実験が行われた。 例えば、海と剣を入れ替えたり、雨と干し草を入れ替えたりといった調子だ。 初めは不便さを感じたが、人々は徐々に順応しはじめた。 こんな風にして。 「…Read More »

国家の新たな方針により、反逆思想を持つ者は徹底的に取り締まることに。 男は人間不信に陥った。 会う人すべてがスパイだ。 何気ない会話や問いかけも、誘導されている気がした。 休日に妻とショッピングへ。 妻は男に尋ねた。 「…Read More »

いつかキミは僕に、「星がひとつも見当たらない、真っ暗闇の空を知ってるかい？」と尋ねてきた。知らない――と僕が答えると、キミは残念そうに目を伏せた。僕はいまでもこうして空を見上げながら待っている。あの日、キミと見た空がやっ…Read More »

「新人のくせに直帰だと？」「もう帰ってこないだと？」「今日が初日のくせに！」 仕方ないのです。何事もこれから経験です。 「どこへ行くんだ？」 それは自分にもわからないのですよ。 「ふん、適当なヤツだな！　最初の仕事は？」…Read More »