その事故物件では３件も連続で住人自らが命を絶っていた。 そして新しい住人の身にも怪奇現象が襲う。 「早く命を落としてくれないかなぁ」 「なかなかしぶといですなぁ。もっと攻勢を強めましょう」 部屋の隅でヒソヒソとした声が響…Read More »

ぼんやりと目が覚める。唇の端にはヨダレ。机の上で枕にした腕が痺(しび)れている。目ヤニが気になり指で目をこすった瞬間、脳天に落雷が落ちた。 「うそだ?!　寝ちまった！」 目の前のパソコンモニタに目をやる。見慣れたデザイン…Read More »

周囲を見渡しても、もう誰もいないし声もしない。 このままだと自分ははみ出し者だ。 どうしよう……。 空気は読むべきもの。 みんなと違うことは恥ずかしいこと。 でもさ？ じゃあ、僕はなぜこの世に生まれたの？ この命は何のた…Read More »

「う～ん？」 女は鏡を観て唸った。 自分の顔が気に入らない。目も鼻も口も全部。 整形を繰り返すが、納得が行かず次から次へ。 すっかり原型を失ってしまった女の顔。 そして女は、今回が最後の整形手術と誓った。 カウンセリング…Read More »

人間は産声をあげた瞬間から、その一生をカプセルの中で過ごす。 身動きひとつしないまま。 肉体の成長は管理システムが制御。 脳にはシステムがインストールされる。 望むがまま、仮想空間で生きられる。 文明が進化し何でもできる…Read More »

清美は急にあること思い出しヒヤッとした。 「まさか、もう待ってないよね？」 高校の頃、島田君から告白を受けた。 「返事、待ってもらってもいいかな？」清美は答えた。 あれから20年の歳月が流れた。 さすがにもう――と決め込…Read More »

兄弟はヒソヒソと耳打ちした。 「財産隠しか、それともマネーロンダリングか？」 「資産化したのかもしれない？」 「何かしらの購入資金に充てたのかも？」 「いや、それなら物証が残るはずだ」 いくら考えても謎を暴けない。 二人…Read More »

客席の男が財布から１万円札を抜き取り、マジシャンに手渡した。 マジシャンはそれを掌の中で丸めると「スリー、ツー、ワン！」。 掌の中から消えた札。どよめく会場。 「ご覧ください！」 マジシャンが指差す先には募金箱。その中に…Read More »

「老眼なのかなぁ……すぐ近くがよく見えなくて」 男はボソボソと呟いた。 それを聞いていた男の妻は、堰を切ったように金切り声をあげ、男の頬を思いきり張った。 「すぐ近くにいる妻の存在を見失ったとでも言うの!?」 土下座して…Read More »

今、まさに銃口が幼い子供に向けられている。 遊びに夢中でそれに気づかない子供。 人差し指に力が込められ、引き金が引かれる。 銃口から勢いよく飛び出した。 見事に背中に命中し、「きゃあッ！」と子供の悲鳴が響く。 子供は振り…Read More »