「アンタなぁ、そんな男と付き合ったらアカンわぁ！　やめときなさい！」 高齢者宅にお弁当を配るのが私の仕事。特に理由もなく始めた宅配弁当だけど、人生の大先輩たちとこうして話ができるのは楽しかった。なかでも、このおばあちゃん…Read More »

それは電話が発明されるずっと以前のはなし。 メッセージは伝言屋が運んでいた。 「４丁目の妙子に伝言を」 「へい！」 「彼女のことを愛していると伝えてくれ」 クソッ！　恋敵かよ。 実は伝言屋も妙子のことを愛していた。 再び…Read More »

「この問題わかる人～？」 私は教壇から問いかける。 生徒からの返事はない。 「難しかったかな？」 黒板に解説を書き込む。チョークの音がコツコツ鳴る。 「じゃあ今日の授業――いや、最後の授業を終わります」 起立、礼、さよう…Read More »

その森には、頭部だけの霊と体だけの霊が現れるらしい。 「私が見たときは、頭部と体は一緒でしたが……」 目撃した女性は震える。 「霊は何かしてなかったですか？」 「そういえば――」 「やっぱりそうか！」霊媒師は頷く。 普段…Read More »

「大将！　ここの肉うまいねぇ！」客の男は感嘆した。 「そりゃどうも」 「どこの肉を使ってるんだい？」 大将は男の腰あたりをそっと指差した。 「ん？」 男は自分の腰回りの肉が削げ落ちているのに気づいた。 「あんた、食用の人…Read More »

世界中で奇妙な現象が起きはじめた。 人間の身体から花が咲き出したのだ。 「悪い毒に感染したに違いない！」人々は叫ぶ。 学者は研究を急ぎ、ある答えに辿り着いた。 「これは地球の仕業だ……」 地球自身がより美しくなるため花を…Read More »

「えーっとですねぇ、男の女と呼ばれる２種類の生き物がいますねぇ」 店員の説明に耳を傾ける客。 「地形が隆起した山と呼ばれるものと、広範囲に水をたたえた海と呼ばれるものがあります」 「なるほど、他には？」 「火星からも近く…Read More »

残り５日。サヨナラを宣告されたボクは、カウントダウンをはじめた。 今日、キミは仲のいい友達とショッピングモールに。以前から行きたいと言ってたスイーツショップ。とても嬉しそうな表情のキミ。 店内は華やかな装飾がぎっしり。キ…Read More »

〈利用の際は事前申請のうえ、審査が必要です〉 「せっかく発明されたのに……」 審査に通過する者はほとんどいなかった。 誰もが憧れたタイムマシン。 皆が自由に時間旅行するようになると、歴史の真実が次々と暴かれた。 不都合に…Read More »

「おぉ！」 ボタンを押す。すると、とめどなく流れるドリンク。 「これがドリンクバーか!?」 画期的だった。 わざわざ求めに行かなくとも、いともたやすく手に入る。 喉を潤せるし、栄養分も摂れる。 何より、身体中が満たされる…Read More »