受験を控える女子高生。 大学に落ちないよう、ジンクスを信じた。 落ちるものを避けて生きる。 落ち葉も見ない。 オチがつくからと、お笑いも見ない。 万有引力？　リンゴすら見なかった。 受験当日。 指定された教室へと向かう。…Read More »

『ちょっと言い回しを変えようかな』 モニタに文字が表示されていく。 『あっ、それは表示しなくていいんだよ』 続けて文字が表示される。 男は不満げに舌打ちした。 考えたことを文字として入力できる思考入力デバイス。 余計な思…Read More »

子供がセピア色の写真を見て尋ねる。 「なんで廊下に立たされてるの？」 「昔はね、騒がしい生徒は廊下に立たされたんだよ」 「ふ～ん」 次の写真を見て再び尋ねる。 「なんで先生が廊下で授業してるの？」 それはねぇ……思わず苦…Read More »

「ダラダラしてるだけでお金が貰えると聞いたもので」 無気力な男が履歴書を手に椅子に座る。 「では、来週から来てください」 簡単な契約書を交わした。 宇宙人が地球に住むようになって久しい。 この度、動物園が開園する。 さま…Read More »

男は月末の請求書を見て、ため息をついた。 「今月も支払いが多いなぁ……」 友人は心配そうに尋ねる。 「そんなに請求がくるのかい？」 「あぁ。大半が家屋や建物損壊の支払いだよ」 「悪と戦う場所を、山奥にでもしたらどうだい？…Read More »

　ひとりの青年が、神様のもとを訪れて言った。 「お願いです。僕の願いをひとつだけ叶えてください」 　神様は慈愛(じあい)を瞳に宿らせ、彼を見つめた。 　青年はまだ高校生。まだ見ぬ未来と可能性が溢れるはずの彼は、自らの命を…Read More »

タイムマシンで未来に行った者たちが、次々と消息を絶った。 過去に行った者たちは無事に帰ってくるのに。 ある学者はこう予測した。 「未来ではもはや、地球が存在しない可能性がある」 つまりは未来に着いた瞬間、宇宙に放り出され…Read More »

その村に架かる橋は、とうとう全てなくなってしまった。 川が村を分断し、往来が困難になった。 「またどうして？」 村を訪れた旅人は不思議そうに尋ねる。 「ウチの村人は皆、臆病者でしてねぇ」 「臆病者？　それが橋とどういう関…Read More »

旅立ったのはいいものの、すぐにホームシックになってしまった。 帰りたくて心細くて。気づけば泣いていた。 あれだけ長く居たんだ。火がついたように泣き叫びたくもなる。 どうやら二度と戻れないらしい。 それを思うとまた泣けてき…Read More »

車が行き交う道路を、鋭い眼光が睨む。 シートベルトをしないドライバー。 運転中にスマートフォンを操作しているドライバー。 法を犯す者を取り締まるため。 目立つ位置にいては、ドライバーに気づかれる。 だから、目につかない場…Read More »