有言実行。 男はそう誓った。 不甲斐ない性格を改めるため。 しかし、いざ決めたものの、うまく行かないのが人生。 言ったそばから諦めてしまう。 やはりダメなのか。 男はそんな自分の性格を、一層嫌いになった。 そしていつしか…Read More »

街の一角で火の手があがった。 駆けつけた消防隊員が野次馬に尋ねる。 「出火の原因は？」 「すぐそこで二人の男が揉めてました」 「火事とどんな関係が」 「火花をばちばちに散らしてましたので」 「それで、二人はどうなりました…Read More »

「ストーカーの被害に悩まされてまして……」 　５人組アイドルグループのセンターとして活躍する菜子(なこ)は、二人の警察官を前に、悲痛な面持ちで訴えた。 　マンションのエントランスに設置されたポストの中身が荒らされているこ…Read More »

ある職人が盗みの被害に遭った。 なんとも大胆な犯行。 金品や家財道具など、家にあるもの全てを盗まれた。 「犯人に心当たりは？」 警察は職人に尋ねる。 黙りながらも何か言いたげな職人。 「きっと、愛弟子の仕業です……」 「…Read More »

ほう、最初のうちは甘いけれど、徐々に酸っぱくなっていく。 ええ。酸っぱく、時に甘酸っぱさも。 しかし、徐々に辛くなる。 その通り。この辛さに音を上げる人もいます。 ただ、それを越した後にくる苦味、渋みがたまらん。 噛めば…Read More »

作家として実体験しか作品にしない主義でねえ。 雑誌の取材を受ける巨匠作家。 「リアリティを追求されているわけですね」 「リアリティなんてもんじゃない、リアルだよ」 「ただ──先生の作品は、猟奇殺人を扱ったサスペンスが中心…Read More »

男の目の下のクマを見て、医師が尋ねる。 「不眠症ですか？」 「いいえ……寝言がひどくて」 「寝言に何か問題が？」 「隠し事まで口にしてるそうで……」 先日、妻から詰問された。 火遊びのことを。 「寝言を止める薬はないでし…Read More »

娘が手を洗いながらポツリと呟いた。 「蛇口からオレンジジュースが出てきたら嬉しいのになぁ」 子どもはいつだって想像力が豊かだ。 ほっこりさせられる。 それに比べて俺はどうだ。 「ねぇ、パパなら何が出てきて欲しい」 う～ん…Read More »

この顔は本物の俺じゃない。 変装して生きる。 正体は明かせない。 それが俺の宿命。 まさか、あんなことが起きるなんて―― 組織の指示が俺に下った。 変装して敵のアジトに侵入する。 その道中。 「付き合ってもらえませんか？…Read More »

ねぇ、パパ。雨が降ったら絶対に濡れちゃうもの、なぁ～んだ？ 娘がなぞなぞを出してきた。 「う～ん、なんだろう？」 答えは、傘だよ。 人は傘のおかげで濡れないけど、傘はいつだって濡れちゃう。 「傘だから仕方がないよ」 犠牲…Read More »