「へぇ。棺桶の中の故人は、こんな風に見えるんですね」 「さようでございます」 「まるで生きてるみたいだ」 死化粧の技術に驚く男。 祭壇の遺影をしばし見つめる。 ふと振り返ると、背後には悲しみの色。 親族、友人、知人。 男…Read More »

「部屋の中に誰かいるんです……」 女の表情は怯えている。 聞けば、今月の初めから、その現象が起こりはじめたらしい。 「ちなみに、あなた、人間じゃないですよね？」 「はい。地縛霊です」女は頷く。 「どこに居座ってるの？」 …Read More »

奴は突如として現れる。 その攻撃力たるや想像を絶する。 誰もが悶絶するほどのダメージだ。 何度、奴の攻撃を受けたか知れない。 いつだって不意打ち。どう頑張っても防ぎきれない。 あっ、自己紹介が遅れました。 僕は、足の小指…Read More »

汚れを清める聖なる海。 伝説の海へと、一寸法師は航海に出た。 鬼を退治するための修行なら、一寸法師は何ひとつ厭わなかった。 すべてはお姫様を助けるため。 最初は穏やかだった海原が、やがて豹変する。 「うわぁー！」 瞬く間…Read More »

　男は恋人を連れて医師のもとを訪ねた。 「ここのところ、どうも彼女の様子がおかしくて……」 　ただならぬ表情の男。身振り手振りを交えながら彼女の異変を訴える。が、具体的な症状がうまく説明できず、〝何かがおかしい〟と主張す…Read More »

「これが噂の心霊スポット……死のエレベーターか」 「上にあがったまま二度と下には降りられないらしいぜ」 二人の顔が引きつる。 乗り込むと、エレベーターは上昇をはじめた。 操作板に目やる。 「屋上のＲの表記がＨになってる。…Read More »

「こうもダダ漏れになると、さすがにマズいな……」 「ルートを突き止めましょうか？」 「大丈夫か？　かなり入り組んでいるぞ」 「専門家に頼んだほうが良さそうですね」 二人は思案しながら、天井を見つめる。 「とりあえず、バケ…Read More »

「何を占いましょう？」 占い師が客の男に尋ねる。 「占いの前に――」 男は身を乗り出した。 「占い師は人の人生を占えるんだろ？ だったらなぜ、こんな寂れた場所で占いをしてるのさ？ 自らを占えば、もっと成功できるのでは？」…Read More »

そこは山奥の朽ちたレストラン。 道に迷った登山家が、腹をすかせてたどり着く。 「すみません。営業されてますか？」 「あいにく、食材を切らしておりまして……」 店主は頭を下げる。 「ちょっとした食べ物くらいならあるでしょう…Read More »

旅人が未来からタイムマシンで現代へやってきた。 「未来では争いが絶えず――それで幻の鳥を求めてやってきたのです」 「ほう？　どんな鳥ですかね？」 「世界に平和をもたらす鳥です」 「もしかして……？」 公園の広場を指さした…Read More »