残念ながら、条件にマッチしませんでした。 またか？ そろそろ、対象の条件を甘くされては……？ ダメだ。 でないと今年も── 儀式が行えないと言うのか？ さようでございます。かれこれ３年連続で儀式が取りやめに。 好みの人間…Read More »

「肩たたき券か」 男は遠い過去を振り返る。 親孝行のためにと、折り紙で肩たたき券を作った。 ほんとは肩たたきした後に、小遣いをもらうのが目的だったけど。 それが今じゃ……。 男はうなだれる部下の肩をたたく。 「悪いが、お…Read More »

「パイプの目詰まりがひどいですね」 女は清掃業者の男を労う。 「目詰まりが原因で戻ってこられない人もチラホラ」 「それは困りますね」 現実と夢をつなぐパイプ。 人はそこを通じて夢の中へ。 現実逃避する人が増えた昨今、パイ…Read More »

「これは解けませんなぁ……」 幾人もの天才たちが挑んでみたが、その暗号は解読できなかった。 彼はあまりにも頭が良すぎた。 この暗号は彼のダイイングメッセージ。 殺される間際、咄嗟に書かれたであろうこの暗号。 難解すぎて、…Read More »

彩り多き我が人生。 戻りたくなる思い出が詰まっている。 甘酸っぱいもの、ほろ苦いもの、栄光や称賛。 心の中で燦燦と輝いている。 「特に何をした人生でもないが……」 男は寿命の淵で思う。 ただひとつ、男がしたことといえば―…Read More »

「ただいま」 　父さんが帰ってきた。寝転んで漫画を読んでいた僕は、声に視線を移す。仕事でイヤなことでもあったのか、どこか疲れた様子の父さん。人懐っこい笑顔をチラッと見せると、いつものように二階へとあがっていった。 　父さ…Read More »

「あったはずのそれが、瞬く間に消えちゃったんだよ」 友人が必死に訴える。 「きっと、どこかに瞬間移動したに違いない」 「いったい何が消えたっていうんだい？」 「金だよ」 「金が瞬間移動？」 「ああ……あんなにあったはずな…Read More »

「チッ、また赤信号かよ」 男は信号無視して車で突っ切る。 向こう見ずな性格の男。 ルールなんて破って当然と思って生きてきた。 「またかよ」 目の前に赤信号。 アクセルを強く踏み込む。 男の車に轢かれかけた通行人が呟く。 …Read More »

「まるで死んだように眠っているな」 「何を言ってるの？　まるで眠っているように死んでいるのよ！　彼はもう生き返らないの……」 女は声を荒げる。 「そんなあなたこそ、まるで死人みたいに生きて。そんな人生でいいの？」 男は不…Read More »

机の上に広がるタロットカードを見つめ、女は言った。 「仕事、うまく行ってないんでしょ？」 丸い水晶は妖艶な輝きを放っている。 「こんな人生じゃなかったと思ってるんでしょ？」 そこは閑古鳥が鳴く占いの館。 女の趣味は、人気…Read More »