今年度の世界大会は、事情により無観客での開催。 選手のモチベーションに配慮した運営側は、歓声を用意した。 録音された客の歓声。 選手の活躍にあわせて音源が再生される。 順調だったオペレーションを急なトラブルが襲った。 な…Read More »

「ついに見つけたぞ！」 海賊の王は幾多の困難を乗り越え、ついに秘宝を見つけ出した。 「さぁ、伝説がベールを脱ぐぞ！」 海賊王が宝箱を開けようとしたときだった。 「ちょっと待ってください！」 手下がそれをとがめた。 「なぜ…Read More »

「もうそんな時期かいな……」 大きなため息が鳴った。 大気汚染。環境破壊。温暖化。トドメは核戦争。 長い長い宇宙の歴史の中、繰り返される人類の愚行。 月はそれを何度も眺めてきた。 「結局、地球はこうなるんやな」 ふわぁ～…Read More »

また退屈な夢。変わり映えしない夢。 現実は、ほら。 凶暴なモンスターに追われたり、 一攫千金を手にして大金持ちになったり、 自由に空を飛んだり、透明人間になったり。 刺激があふれてる。 それに比べて、なんて退屈な夢なんだ…Read More »

「あぁ！　実に暑い、暑すぎる！」 作家は苛ついていた。 新作が書けない焦りもあった。 外は蝉が騒ぎ、余計に神経を逆撫でた。 強にセットされた扇風機がギシギシと音をたてる。 「お前がもっと冷さんからいけないんだ！」 あまり…Read More »

「無駄使いの相が出ていますね」 人間関係に悩み、男は占いの館を訪れた。 「そ、そんなお金を使うタイプじゃないのですが……」 男は弱々しく答えた。 「ほう？」 「あっ、すみません。なんか、占いの結果にイチャモンつけてるみた…Read More »

心ない言葉は、人を深く傷つける。 時に暴力よりも残酷に。 心ない優しさは、人を裏切ることになる。 それは優しさでもなんでもない。 心ないとは、思慮がなく、情緒を解さないということだ。 僕の絵はどうだ？ 「下手くそ」 僕は…Read More »

「夏休みの課題を提出してね！」 教師が生徒たちに声をかける。 課題は身近な虫の観察。 生徒たちは口々に発表しはじめた。 家の庭に現れたカマキリ。 公園で捕まえたバッタ。 ゴキブリの観察をした生徒もいた。 「タカシ君は何を…Read More »

「お父さん、どうしたの？」 「農薬を準備しとるんだ！」取り乱す父。 「あんなに無農薬にこだわってきたのに、どうして？」 「もちろん、愛しの農作物には撒かんよ」 「じゃあ、何に？」 「悪い虫が寄りついとるらしいからな」 「…Read More »

「いやぁ、それにしてもめでたいなぁ」 　島崎は社員食堂で同僚の尾原の肩を叩いた。 「期待はしていたけど、まさか自分の息子がねぇ」 「オリンピック出場決定、おめでとう！」 「ありがとう」 　尾原は照れた素振りで、頭をポリポ…Read More »