地下鉄の雑踏の隅。 若い頃から男はそこに腰掛け、靴磨きをしてきた。 男が磨けば汚れた靴もピカピカ。 新しい旅に出る靴をたくさん見送ってきた。 「さぁ、終わるとするか」 すっかり年老いた男の体力は限界に。 今日が最後と決めていた。 「よし」 そう呟くと、男は自らの汚れた靴を、ピカピカに磨き上げた。 Posted on 2020年10月1日2020年10月1日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート