世間の人たちは僕のことを気味悪がった。 明けても暮れてもVR《仮想現実》のヘッドセットを身につけているからだ。 肌身離さず、朝から晩までずっと。 「そこに何が映ってるんだい?」 興味を持った知人にヘッドセットを覗かせた。 「美しい女性がそばで笑ってる――」 僕は頷き、答えた。 「亡くなった僕の最愛の妻さ」 Posted on 2020年6月2日2020年6月9日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート