男は世を憎み、孤独を求めて透明人間の薬を飲んだ。 誰にも見られず、誰にも知られず生きた。 そして今、寿命が尽きようとしている。 ひとりの博士が男の部屋を訪れた。 「あの薬には何の効果もないんだよ」 「でも、誰も僕のことを──」 博士は微笑んだ。 「君が拒めば世も君を拒む。ただそれだけのことさ」 Posted on 2019年9月5日2019年9月5日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート