「あの爺さんは、タダ飯食えるのかい?」 客のひとりが訝しがった。 「あの爺さんは、ミュージシャン志望でねぇ」 「ほう? どう関係が?」 「この食堂の先代が、爺さんに言ったわけです―― 売れるまではタダ飯食わせてやるって」 「ごちそうさん」と言い残し、老いた男がギターケースを担いで店を後にした。 Posted on 2021年8月10日2021年8月10日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート