折り畳み椅子に腰をおろし、老いた画家が満開の桜をスケッチしている。 今年は邪魔がおらんから筆が進むわ、と呟いた。 静かな公園で優雅に写生を続ける。 仕上がった絵を見て、画家は首をひねった。 「花見客がおらんと、やっぱり絵が寂しいのう」 来年への期待を込めて、溢れかえる花見客を描いていった。 Posted on 2020年4月3日2020年4月3日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート