男は山腹で老人とすれ違った。 「この山は登れど登れど、山頂が見えませんね」 息を切らす男。 「いつまで登ればいいのやら」 霧で霞む山頂を眺め、ため息をついた。 「今は登ることを楽しみなさい。下山には寂しさがつきまとう」 老人は微笑みながら答えた。 「ちなみにこの山の名をご存知で?」 「人生じゃ」 Posted on 2019年10月24日2019年10月24日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート