作家の男はあるシーンの描写が思い浮かばず苦悶した。 もっとリアリティを追求したい。 常に拘って執筆してきた。 「仕方があるまい……」 小さく呟くと、包丁を手にした。 己の腹を見つめる。 一息に突き刺す。 「ぎゃぁ!」 男の悲鳴。 引っ込む刃先。 「よし。玩具の包丁で腹を刺すリアルな描写が書けそうだ」 Posted on 2019年10月4日2019年10月4日 by admin Categories: ベリーベリーショートショート